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マドンSLRインプレッション

2018年7月20日

スタッフブログ

テストライドを行ったMadone SLR 6 Disc

高いエアロ効果と快適性を融合した唯一のエアロロードバイク

エアロロードバイクの扁平が大きいフレーム形状のメリットは、もちろん空力を高め平坦でのアベレージスピードを高めること。逆に弱点はその扁平ゆえ、横剛性が高くなり路面からの衝撃をもろ身体に受けてしまうこと。それは高速になればなるほど、ちょっとした路面のギャップなどで身体が弾かれてしまいます。コーナーなどでそのようなギャップがあるとバイクが跳ね、「あぶなー」って思ったことありませんか?

結局、空力を高めつつ乗り心地の良さを両立させることは、言ってみれば一台のバイクが相反する性能を併せ持つという、これまでの常識では考えられないことだったのです。しかし、トレックのエンジニアはドマーネでISO Speedテクノロジーを開発し、その技術をマドン9で初めてエアロロードバイクにも落とし込むことで、エアロでありながら快適性能も手に入れることに成功したのです。

トップチューブ下にISO Speedテクノロジーが見える

ISO Speedテクノロジーのアドバンテージとは

そして今回登場したマドンSLRでは、前作よりも快適性を向上させるためにトップチューブにISO Speedテクノロジーを搭載し、またその快適性を調整する機能まで追加しました。実際にインプレしたモデルはMadone SLR 6 Discで、ホイールはリムハイト50ミリのアルミ/カーボンのクリンチャーであるアイオロスコンプを搭載。タイヤはボントレガーR3 25Cで空気圧は90PSIに設定。

私は今も前モデルのマドン9に乗っているので、その性能は誰よりも良くわかっているつもりです、SLRに乗った瞬間感じたのはその衝撃吸収性の高さ。空力性能はすでに高いレベルなので、マドンSLRの開発目標は空力は維持しつつも、その乗り心地をさらに向上させることだったようで、明らかにそれが向上しているのを感じ取ることが瞬時にできました。その感覚はDomaneに初めて乗った時のそれに近いかもしれません。路面の段差やアスファルトの割れを通過したときに感じる下からの突き上げをうまくいなしてくれるのがISO Speedテクノロジーで、それは悪路にカーペットを敷くことで衝撃を緩和させてくれるようなイメージです。イベントやレースに参加すると、側溝や段差などパンクしやすそうなところによくカーペットが敷いてあるのを見たことありませんか?それと同じような効果が得られるのがISO Speedテクノロジーなのです。25Cとは言え、クリンチャーで90PSIまでエアを入れるとその走りは比較的ホイール周りが硬く感じられるものですが、マドンSLRの場合はそれがまるでチューブラータイヤだった?と思わせてくれるぐらいの快適さでしたね。

下記が実際のISO Speedテクノロジーの動きになります。

峠の下りを攻めてみてもその安定感には目を見張るものがあります。ディスクブレーキを搭載していることもありますが、ブラケットを握ってブレーキレバーの下の方に指をかけなくても安全に下れる快適性と言ったら、下りがさらに楽しくなりついついスピードを出してしまってました。これまでだったら間違いなく下ハンドルを握って、しっかりブレーキングできる体勢で走ってましたし、その時と比べると目線も高くなり、上半身もやや起こし気味で懐にも余裕が出来ることで下りの安全マージンがより大きくなります。そしてこれは決してディスクブレーキだけの恩恵ではなく、マドンSLRの衝撃吸収性の高さも相まってそれを可能にしているのです。快適性でいえば、フロントにはISO Speedテクノロジーは搭載されていないものの、ハンドルバーが一体成型のものから2ピースになることで、ブラケットの微妙な角度調整が可能になっただけでなく、明らかにハンドル周りの柔軟性も高まって前後のバランスも良くなっているのを感じることが出来ます。

最初の方で下りのコーナーでのギャップでバイクが跳ねると書きましたが、マドンSLRではそういうギャップをも吸収してくれるので安全に下ることができるのです。

峠で下りを攻める野口

OCLV700がもたらす加速性能

トレックが誇るOCLVカーボン。その中でもTrek Segafredoのプロ選手たちも使用するグレードがOCLV700。その最高峰グレードを使用しているマドンSLRだけあってその走行性能が悪いわけないじゃないですか。マドンSLR 6 Discは重量が8.5キロ(54サイズ)あるので、正直ゼロ発進の加速性能はエモンダSLRに軍配が上がるでしょう。しかし、30キロ近くのスピードに乗せてしまえばそこからの加速は断然マドンSLRが上です。フォークの扁平が大きくなった分、横剛性も高くなったせいなのか、フロント周りに関してはハンドルステム周りで衝撃吸収性が高まっているのと同時に、フォーク側では加速時の上半身の力をしっかり推進力に変えてくれています。

技術力では群を抜くトレックのエンジニアリング

他社はエアロ効果のみを競っている中、トレックのエンジニアはそれを何時間も乗車したときにどれだけサイクリストが身体に負担を受けることなくライドを楽しめるのかということを考えているのです。これはもちろんプロ選手にとっても大きなアドバンテージですが、それは一般サイクリストにとっても同じなのです。「自転車は速く走りつつも快適で楽しくなくてはいけない」、おそらくトレックのエンジニアはマドンを開発するにあたり、そういったことを実現することを目標にしていたことでしょう。

これまではマドンというと、速く走らないといけないどこか尖った存在だったように感じますが、SLRではそんなこともなく初心者の方でも乗りこなせる非常にバランスが高まったエアロロードバイクとして登場したように感じます。

是非一度アースバイクスで試乗体感してみてください。

インプレライダー アースバイクス代表 野口忍

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